食道閉鎖症術後吻合部狭窄に対するtriamcinolone acetonide局所注入の有効性

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タイトル別名
  • Effectiveness of Intralesional Triamcinolone Acetonide With Balloon Dilatation for Anastomotic Stricture in Postoperative Esophageal Atresia Patients
  • 食道閉鎖症術後吻合狭窄に対するtriamcinolone acetonide局所注入の有効性
  • ショクドウ ヘイサショウ ジュツゴ フンゴウ キョウサク ニ タイスル triamcinolone acetonide キョクショ チュウニュウ ノ ユウコウセイ

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抄録

【目的】食道閉鎖吻合部狭窄にはバルーン拡張術が標準的な治療であるが,時として再狭窄を繰り返し治療に難渋することがある.学童以上の良性食道狭窄例にはバルーン拡張とtriamcinolone acetonide(TA)の局所注入が有効であることが報告されているため,幼児以下の食道閉鎖吻合部狭窄についてTAの局所注入の有効性を検討する.【方法】2005年から2010年の間に当院を受診し,根治術を施行された食道閉鎖Gross C型を対象とし診療録を参照し,吻合部狭窄,胃食道逆流(GER)の状況,噴門形成術の有無,バルーン拡張の時期と回数,TA局所注入併用の有無,バルーン拡張後再狭窄の有無とそれまでの期間を調べ,各症例を検討した.【結果】5年間に根治術を施行されたC型食道閉鎖の症例は13例であった.GERを合併した症例は7例であり,そのうちの4例が吻合部狭窄を生じた.GERのない症例は6例であり,その1例が吻合部狭窄を生じた.5例の吻合部狭窄に対して,計16回のバルーン拡張が行われた.このうちTA局所注入は6回のバルーン拡張に併用された.バルーン拡張単独で行った10回はすべて再狭窄を起こしたが,TAの局所注入を行ったバルーン拡張で再狭窄を起こしたのは1度だけであった.バルーン拡張施行における平均無再狭窄期間は,GERなしTA局所注入なし:30.7日(中央値28日,範囲22〜42日),GERありTA局所注入なし:20.9日(14日,14〜37日,GERなしTA局所注入あり:561.3日(731日,37〜916日),GERありTA局所注入あり:352.7日(226日,143〜689日)であった.【考察】TAの局所注入が乳幼児の食道閉鎖吻合部狭窄に対する有望な治療である可能性が示された.特にGERを合併している症例に対しても有効である可能性が高い.

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