ステント留置後の肉芽増生管理に難渋した浸潤性甲状腺癌の1例

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タイトル別名
  • Treatment of Granulation After Airway Stent Placement for Thyroid Papillary Carcinoma in a Single Case

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抄録

背景.悪性気道狭窄のステント留置は狭窄解除に有効だが,留置後の肉芽増生は,その対応に苦慮することも多い.症例.71歳,女性.1981年,甲状腺乳頭癌の診断で甲状腺亜全摘術を受けたが,1995年,2001年に局所再発し追加手術を受けた.2007年甲状腺乳頭癌浸潤により左声帯麻痺が出現.2009年8月,甲状腺乳頭癌の気管浸潤によって気管が高度に狭窄し,労作時呼吸苦が出現した.気管切開を勧められるも受容できず,ステント留置目的で当院初診となった.2度の金属ステント留置の後,甲状腺乳頭癌浸潤による両側反回神経麻痺も出現し,また,ステント端に生じた急速な肉芽増生により気管狭窄を来したため,気管切開によるチューブ留置を余儀なくされた.その後は呼吸苦なく,QOL,ADLともに保たれている.この経過中,ステント内部からは緑膿菌,MRSAが検出されており,持続的細菌感染が肉芽増生の一因と考えられた.結語.金属ステント留置後は肉芽増生が予後を大きく左右するため,その発生機序・予防・対策にさらなる研究が必要である.

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 33 (6), 458-463, 2011

    特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会

参考文献 (7)*注記

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