歯根破折片を金属針で連結した上顎中切歯の矯正移動 : エックス線写真による追跡

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  • Orthodontic movement of upper central incisor with fractured roots that are intraradicularly united with an endodontic instrument : A follow-up. Radiographic observations on root fractures

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抄録

アングルII級1類上顎両側第一小臼歯抜歯症例の矯正治療中に外傷により,上顎右側中切歯が複数歯根破折した.歯根破折片を金属針で根管内連結した後に矯正移動を行った.すなわち,「根管内連結・即時矯正移動」によって咬合の改善を試みたところ,おおむね良好な治療結果を得ることができた.本報告では,主にデンタルエックス線写真を用いて移動により生じた歯根破折上顎中切歯の変化について報告するとともに,「根管内連結・即時矯正移動」の課題や意義について考察した.移動後の歯根破折上顎中切歯は,過度の動揺もなく安定した咬合状態を保ち,良好な咀嚼機能を営んでいる.またエックス線写真所見では,破折部は結合組織の介在による治癒の様相を呈したが,根尖部にエックス線透過像が認められた.将来的に,歯根破折上顎右側中切歯が抜歯となった場合でも,安定した咬合と抜歯部位では良好な歯槽骨の形態が保たれているため,インプラントや補綴処置を行う上でも有利である.以上のことから,歯根破折上顎中切歯に対する「根管内連結・即時矯正移動」の有用性が示唆された.

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