肺癌に対する定位的放射線治療部位に発症し左肺上葉無気肺を呈した気管支アスペルギルス症の1例

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タイトル別名
  • A Case of Bronchial Aspergillosis in a Patient with Lung Cancer Following Stereotactic Radiotherapy

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抄録

背景.気管支アスペルギルス症はその疾患概念や病態の理解が未だ不十分な疾患である.症例.症例は77歳の男性.2009年10月,胸痛と左肺上葉の無気肺を主訴に入院となった.5年前に肺癌に対して化学療法と定位的放射線治療を行い,完全寛解となった既往がある.気管支鏡検査で,肺癌が認められた部位の近傍の左上葉支に白苔を伴う腫瘤状の病変を認め,左上葉支は完全に閉塞していた.生検で悪性所見を認めず,アスペルギルスの菌塊が認められたため気管支アスペルギルス症と診断した.気管支拡張や喘息症状は認めなかったが,気道過敏性を認め,皮内テスト,および血液検査でアスペルギルスに対するアレルギー反応が陽性であり,PattersonらのABPA-S (allergic bronchopulmonary aspergillosis-seropositive)に相当する病態と考えられた.気管支鏡による粘液栓の除去とイトラコナゾール投与により胸部X線,および気管支鏡所見は改善し,治療開始後13か月目の現在,良好に経過している.結論.今回我々は肺癌に対して定位的放射線治療を施行した部位に発症したABPA-Sの1例を報告した.

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 34 (1), 33-37, 2012

    特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会

参考文献 (13)*注記

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