血腫形成を伴った腰椎黄色靱帯内ガングリオン嚢胞の病理・免疫組織化学的検討

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  • The Pathological and Immunohistochemical Analysis of Ganglion Cyst with Hemorrhage in the Lumbar Ligamentum Flavum

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抄録

【目 的】出血を伴った黄色靭帯内のガングリオン嚢胞を病理・免疫組織学的に検討し,亜急性期炎症所見を分析し,靭帯内出血性病変の発生機序について考察する.【対象と方法】症例は68歳男性,急性発症で4ヵ月継続する右下肢痛が主訴であった.画像所見からガングリオン嚢胞によるL5神経根症と診断し,黄色靭帯摘出を実施した.この摘出標本を対象としてHE, EVG, AZAN, congo redの病理染色およびCD31, CD34, VEGFR2, vWFの免疫染色を実施した.病理学的に変性の重症度を弾性線維,膠原線維,間質の硝子化変性の所見を基に評価し,血管新生出現の様子を免疫染色で観察した.【結 果】椎間関節より連続したガングリオン嚢胞には出血所見を伴っていた.ガングリオン周辺には炎症所見を認め,免疫染色陽性の新生血管内皮を認めた.新生血管は脊柱管側膜構造から炎症部周囲に多く分布した.炎症部位以外にも新生血管を認め,炎症部位から離れるにつれCD34陽性の間質細胞が存在した.炎症部近傍の間質はCD34陰性で,アミロイドの沈着を認めた.【考 察】本症例では,ガングリオン嚢胞を中心とした黄色靭帯内亜急性期炎症所見が観察され,その周囲に新生血管を伴い,靭帯の伸縮に伴う機械的ストレスを基にこれが出血源になったと考えられた.【結 論】本症例の病理学的・免疫組織化学的所見より,黄色靭帯変性初期の亜急性期炎症所見周囲の新生血管がガングリオン嚢胞の出血源になると考えた.

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