書誌事項
- タイトル別名
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- Anti-suck-back Effects of Dental Air Turbine Handpieces by Themselves
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抄録
歯科用エアータービンハンドピースのサックバック現象は,口腔内から唾液,血液,切削片を吸引することによって,エアータービンハンドピースだけではなくチューブのコネクターやユニットまでも汚染してしまう.患者ごとにエアータービンハンドピースを交換しても交叉感染は起こりうる.この研究では,異なる国内のメーカーによって作られた4種類の最新型エアータービンハンドピースのサックバック防止効果を評価した.1.サックバック圧の測定:エアータービンハンドピースの前方部,後方部,エアータービンハンドピースヘッド全体のサックバック圧を測定した.エアータービンハンドピースを密閉したフラスコ内で回転させた.そして回転を停止し,その際にビーカーから染色液がガラスチューブに吸い上げられる水の高さの最大値を測定することによって確認した.2.サックバックの確認:フラスコ内で別のエアータービンハンドピースを駆動させることによって蛍光染色液をミスト状にしたもの(ミストコンディション)と蛍光染色液を入れた超音波噴霧装置でフューム状にしたもの(フュームコンディション),エアータービンハンドピースヘッドを完全に蛍光染色液に浸漬した状態でエアータービンを駆動させた後,停止した.それぞれの条件下で,排気管路を覆ったガーゼ上に付着した蛍光染色液が蛍光顕微鏡で観察できるようになるまで,2秒間の駆動と5秒間の停止を,1, 2, 3, 5, 10, 30, 50, 100, 200, 300, 400および500回繰り返した.また,エアータービンハンドピースヘッドと同様に,カップリング部の排気孔の蛍光染色液の存在を蛍光顕微鏡で観察した.その結果,1種類のエアータービンハンドピースではそれぞれの部分での水位は0mm未満であった.このモデルは,完全な浸漬を除いて500回の駆動の後でも,ミストとフュームの条件下で排気孔部の蛍光浸透は観察されなかった.逆に他のエアータービンハンドピースではサックバック現象が観察された.エアータービンハンドピースヘッド全体の浸漬では,すべてのハンドピースでサックバック現象がすぐに起こった.エアータービンハンドピースヘッドは完全に封鎖されていないので,液体の侵入を防ぐためにヘッド全体の浸漬は避けなければならない.結論として,1種類のエアータービンハンドピースは単体でサックバックを防止する可能性があることがわかった.
収録刊行物
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- 日本歯科保存学雑誌
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日本歯科保存学雑誌 54 (4), 269-275, 2011
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205521221888
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- NII論文ID
- 110009419154
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- NII書誌ID
- AN00191201
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- ISSN
- 21880808
- 03872343
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可