模擬根管内での超音波による根管洗浄時の流れの観察

  • 磯辺 量子
    九州大学病院歯内治療科
  • 吉嶺 嘉人
    九州大学大学院歯学研究院口腔機能修復学講座歯科保存学研究分野
  • 松本 妃可
    九州大学病院歯内治療科
  • 牛島 寛
    九州大学大学院歯学研究院口腔機能修復学講座歯科保存学研究分野
  • 坂田 篤信
    九州大学大学院歯学研究院口腔機能修復学講座歯科保存学研究分野
  • 佐藤 浩美
    九州大学大学院歯学研究院口腔機能修復学講座歯科保存学研究分野
  • 西原 正治
    西原歯科クリニック
  • 赤峰 昭文
    九州大学大学院歯学研究院口腔機能修復学講座歯科保存学研究分野

書誌事項

タイトル別名
  • Fluid Dynamics of Ultrasonic Irrigation in Simulated Root Canals

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抄録

受動的超音波洗浄(PUI)は,根管内の細菌減少の改善に使用される.微小な流れやキャビテーションなどの生物物理学的力がPUIにおいて重要な働きをしているであろうが,このメカニズムに関する詳細は明らかになっていない.この論文の目的は,高速度カメラを用いて,PUIにおける生物物理学的力の関与を解明することである.太さが異なるファイル(#15, #20, #25, #30, #35)を水中に沈め,異なる超音波出力において振動するファイルの移動量を計測した.さらに,ファイル周囲のキャビテーション気泡を観察し,根尖領域における流れをガラスビーズトレーサーを用いて観察した.水中では,細い超音波ファイルほど,また超音波出力が高いほどファイルの振幅は大きかった.キャビテーション気泡は,模擬根管内においてファイルの先端部と共振点でのみ観察された.ファイルの直下1mmほどの領域では活発な流れが観察された.ファイルを底部から5mmに設置すると,高い出力でも流れは比較的穏やかであった.結論として,細いファイルを根尖近くに設置し,低出力で洗浄液を活性化する方法が,効果的なPUI法として推奨される.

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参考文献 (28)*注記

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