日本の文化人類学的研究における課題と展望 : 個人の研究史をとおして(第6回日本文化人類学会賞受賞記念論文)
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- 波平 恵美子
- お茶の水女子大学
書誌事項
- タイトル別名
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- Problems and Perspectives in the Anthropological Studies of Japan(JASCA Award Lecture 2011)
抄録
日本を文化人類学的な研究対象とすることは、文化の現状を考え文化人類学という学問領域が置かれている環境を考える時、文化人類学は有利な点と克服しなければならない課題の双方を抱えることになると考える。その課題のうちいくつかを取上げても乗り越えるには大きな努力は要求されるものの、一方では文化人類学の本領を発揮できる挑戦するに値する課題でもある。成功するならば、文化人類学の理論と方法に発展をもたらし、文化的・社会的に深刻化している問題を解決するうえで文化人類学の独特の効用を他に示すこともできる。日本研究は、どの地域、どのテーマを研究対象として選び取っても厖大な他領域における先行研究と蓄積された分析されていない民俗的歴史的資料がある。これらの先行研究や資料を文化人類学的に使いこなすことは実に挑戦的である。また、日本人における「日本の均質性と持続性」へのゆるぎない確信を砕くことは、広い人気を誇る日本文化論への対抗的研究を行うこととも相俟って、挑戦的である。それは、日本社会にそして日本文化に現実には存在し拡大しつつある裂け目が「日本文化の均質性」の誤認のために覆い隠されている結果生じている現在の社会的問題の解決に糸口を提示することにもつながる。
収録刊行物
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- 文化人類学
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文化人類学 76 (4), 375-390, 2012
日本文化人類学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680779116672
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- NII論文ID
- 110009436708
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- ISSN
- 24240516
- 13490648
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可