市町村における歯科保健事業と精神および行動の障害に関する医療費との関連

  • 竹内 倫子
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野
  • 山本 龍生
    神奈川歯科大学社会歯科学講座歯科医療社会学分野
  • 森田 学
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Relationship between Implementation of Community-based Dental Health Programs and Health Care Costs for Mental and Behavioral Disorders
  • シチョウソン ニ オケル シカ ホケン ジギョウ ト セイシン オヨビ コウドウ ノ ショウガイ ニ カンスル イリョウヒ ト ノ カンレン

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抄録

精神疾患(・障害)を理由に医療機関を訪れる人々が年々増加しており,特に気分障害,ストレス関連障害の通院患者の増加が著しい.本研究では,岡山県内において,地域歯科保健事業を行っている市町村と行っていない市町村との間で精神および行動の障害に関連する疾患の医療費の10年間の増加額を比較した.<br>平成9年から平成11年および平成19年から平成21年の各年5月分の岡山県市町村単位の国民健康保険受給対象者の医科のすべての診療報酬明細書データを用いた.これらの診療報酬明細書のうち,主病名として「精神および行動の障害に関する疾患」(以下,精神疾患)に割り当てられている診療報酬明細書のみ抽出し,市町村別に精神疾患の総費用額を算出した.また,「歯科検診を含む基本健診」等9項目の歯科保健事業実施の有無を市町村別に調査した.<br>各歯科保健事業別に実施している市町村(実施群)と実施していない市町村(未実施群)との間で,一人当たり精神疾患医療費の増加額を比較した.その結果,9項目中8項目について,未実施群よりも実施群の一人当たり精神疾患医療費の増加額が少なかった.また,歯科保健事業実施数が少ない市町村ほど精神疾患医療費の増加額が多くなる傾向がみられた.<br>歯科保健事業と精神疾患医療費との直接の関係は不明である.しかし,歯科保健事業を実施するような市町村では精神疾患医療費が減少する傾向にあると思われる.

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参考文献 (19)*注記

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