フランスの社会的排除と公的雇用契約の展開

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タイトル別名
  • フランス ノ シャカイテキ ハイジョ ト コウテキ コヨウ ケイヤク ノ テンカイ
  • Social Exclusion and Employment Policies in the Public and Non Profit Sectors in France

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抄録

本稿の課題は, 公的雇用契約を構成する「社会的有用性」と「参入契約」の原則に着目することで, 近年フランスで進められている就労支援改革のインパクトについて考察することにある。本稿の分析手法は, この二つの原則あるいは公的雇用契約が, 設計段階での議論や論争と関係するだけでなく, 当事者への実態調査とも関係している点を重視した点にある。そうした制度と個人の相互交流のなかで, 二つの原則に対する解釈に変化が起こり, その結果として公的雇用契約も変容してきた。就労・生活困難者は, 社会制度から一方的に影響を受ける存在ではなく, ときとして, より良い対策に向けた提言を行う主体でもある。公的雇用契約の改革は, 個人に就労の責任を担わせるものではなく, より当時者の状況に対応して支援を行うための伴走活動の制度化であったと結論づけられる。このために, 支援の現場では, 積極的な求職活動や訓練といった職業的参入支援だけでなく, 状況に応じて社会的参入支援を実施しているものと考えられる。

収録刊行物

  • 経済学雑誌

    経済学雑誌 113 (1), 89-108, 2012-06

    大阪市立大学経済学会

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