体重4kg未満乳児に対する生体肝移植術10例の報告

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  • Living Donor Liver Transplantation for Infants Weighing Less Than 4 Kilograms
  • タイジュウ 4kg ミマン ニュウジ ニ タイスル セイタイ カン イショクジュツ 10レイ ノ ホウコク

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抄録

【目的】体重増加を待てず肝移植に至る症例では,large-for-size graftが問題となる.体重4kg未満乳児生体肝移植10例について報告する.【方法】当院にて1990年6月から2010年12月に施行した15歳以下生体肝移植症例739例中,体重4kg未満乳児症例10例を対象とし,手術術式の変遷とともに後方視的に検討を行った.【結果】原疾患は,胆道閉鎖症4例,代謝疾患4例,劇症肝炎2例であり,移植時体重は平均3.38±0.38kgであった.グラフトはleft lateral segment graft (LLS)2例, reduced leftlateral segment graft (R-LLS)3例,hyper reduced left lateral segment graft (HR-LLS)5例であり,平均GRWRはグラフト別に7.83%, 4.65%, 3.99%であった.門脈血栓2例,動脈血栓1例,肝静脈狭窄(門脈血栓に合併)1例を認め,門脈血栓2例中1例は肝不全にて死亡し,1例は肝不全・肺高血圧にて再移植,動脈血栓の1例は,肝不全・脳出血にて死亡した.HR-LLSグラフトを選択した5例では,胆管狭窄や消化管穿孔を認めたものの血管合併症は認めず,5例中3例が生存している.選択グラフト別の血管合併症はLLS, R-LLS, HR-LLSそれぞれで50.0%, 66.7%, 0%,生存率は0%, 33.3%, 60.0%であり,グラフト縮小に伴い術後成績の改善が得られた.【結論】体重4kg未満乳児では,GRWR4%以下を目標としたグラフトを選択し,血管合併症の発症を防ぐことにより,生存率の改善がはかれると考える.

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参考文献 (15)*注記

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