沖縄県那覇市の保育サービス供給体制における認可外保育所の役割

書誌事項

タイトル別名
  • The Role of Unlicensed Childcare Facilities in Providing Childcare Services in Naha City, Okinawa
  • オキナワケン ナハシ ノ ホイク サービス キョウキュウ タイセイ ニ オケル ニンカ ガイ ホイクジョ ノ ヤクワリ

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抄録

社会福祉政策の普遍化・分権化・多元化の潮流の中で,日本の保育サービスも公的部門にとどまらない多様な主体からなる供給体制が求められている.とくに近年の日本の保育制度改革は,規制緩和による民間事業者の参入を促進してきたが,沖縄県では従来から例外的に民間による認可外保育所の占める割合が高かった.しかし,それは近年の制度改革とは異なる過程で形成されたものと考えられる.本研究は,認可外保育所を通してみた沖縄県の保育サービス供給体制の特質とその背景を明らかにすることを目的として,那覇市における認可外保育所の立地,運営,利用実態を調査し,保育体制におけるその役割について考察した.那覇市における認可外保育所への需要の大きさは,保育所待機児童の多さに現れている.その背景には,出生率の高さや働く若い母親の多さ,および米国占領下での保育所整備の立ち後れや米国式幼児教育の影響があると考えられる.より詳細な認可外保育所の立地・運営状況を把握するために,保育施設とその利用者の両面から調査を行った.その結果,認可外保育所には設備やサービス内容の面で多様性がみられるが,いずれも公的保育サービスでは満たされない需要をカバーする役割を果たしていることが明らかになった.その多くは近隣の要望に応える形で設立され,生業的経営と奉仕の精神によって支えられてきたものの,限られた公的補助のもとで苦しい経営を強いられている.こうした保育サービス供給体制にみられるローカルな課題は,既存の保育資源のあり方やその成立過程をふまえながら,地域的文脈に即して検討する必要があると考えられる.

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