わが国における復職支援の現状と課題(勤労者のメンタルヘルスに関する予防活動-心身医学的な視点から-,2011年,第52回日本心身医学会総会ならびに学術講演会(横浜))

書誌事項

タイトル別名
  • The Present Situation and Problem of Rework Program in Japan(Preventive Activities for Mental Health of Workers : From the Perspective of Psychosomatic Medicine)
  • わが国における復職支援の現状と課題
  • ワガクニ ニ オケル フクショク シエン ノ ゲンジョウ ト カダイ

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抄録

リワークプログラムの必要性は,ひとえに休職後の復職が困難になったという現実であるが,その背景にはこの10年間に気分障害が2倍へと増え,病気の表現型も変化したことが指摘できる.現代の気分障害の特徴は疾患の軽症化と症状の非定型化によると思われ,(1)他罰性,(2)強い不安,(3)過剰な元気さ,に集約できる.このため経験のある精神科医によっても復職時期の見極めは容易ではないことより,安全な就労を継続できる復職準備性の判断が,リワークプログラムのひとつの重要な目的である.リワークプログラムの要素は,(1)集団を対象に対人関係の問題を扱う,(2)「抑うつ状態」による休職者で,復職と再休職の予防が目的,(3)コ・メディカルと精神科医の協働によって実施される医学的リハビリテーション,(4)疾病教育と同時に発症メカニズムを自己理解し,心理療法により再発の予防策を身に着ける,ことである.当院でプログラムを終了して復職した501例の生存分析によると,1年後の就労継続が77%,2年後は63%であった.また,復職後において治療が終結して治癒と判定された62人をみると,復職後の平均治療期間は700日を超えていた.

収録刊行物

  • 心身医学

    心身医学 52 (8), 726-733, 2012

    一般社団法人 日本心身医学会

参考文献 (8)*注記

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