集合的記憶概念の再考 : アルヴァックスの再評価をめぐって

  • 金 瑛
    京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程:日本学術振興会特別研究員

書誌事項

タイトル別名
  • Reconsideration of the Concept of Collective Memory : A Reevaluation of Maurice Halbwachs
  • シュウゴウテキ キオク ガイネン ノ サイコウ : アルヴァックス ノ サイヒョウカ オ メグッテ

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抄録

本稿の目的は、アルヴァックスの集合的記憶概念を再考することにある。そこでまず行なったのが、アルヴァックスによる記憶(mémoire)と想い出(souvenir)の区別、集合的記憶と歴史の区別を検討することで、集合的記憶を定義し直すことである。集合的記憶は、時間的な連続性の流れとして定義され、言語活動・時間・空間という「枠組み」によって構成される。本稿では、従来あまり注目されてこなかった「環境(milieu)」という概念に着目することで、時間の「枠組み」を支える空間性について論じた。そしてそこでは、ノラの「記憶の場」という概念やモースの贈与論を参照軸に、「環境」と「場」の関係、「場」の変化による忘却の問題を論じた。また「環境」という観点から、個人的記憶と集合的記憶の関係、集合的記憶における忘却と想起についても論じた。本稿の論点は、「環境」が集合的記憶に対してもつ意義を説くことである。

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