簡略モデルを用いた噴火湾底泥AVS 変化の検討

  • 奥村 裕弥
    (地独)北海道立総合研究機構水産研究本部
  • 磯田 豊
    北海道大学大学院水産科学研究院
  • 工藤 勲
    北海道大学大学院水産科学研究院
  • 宮園 章
    (地独)北海道立総合研究機構水産研究本部網走水産試験場

書誌事項

タイトル別名
  • Theoretical Examination of Acid-Volatile Sulfide Variability in Surface Sediment in Funka Bay using a Simple Box-Model
  • カンリャク モデル オ モチイタ フンカワン テイデイ AVS ヘンカ ノ ケントウ

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抄録

2007年から2008年の噴火湾において,海底近傍の溶存酸素(DO)と表層泥中の酸揮発性硫化物(AVS)の季節的な関係を調べるための調査を実施した.DO には一年周期の変化がみられたものの(秋季に極小,春季に極大),AVS の一年周期の変化は不明瞭であり,むしろ数カ月の時間スケールをもった短期変動が卓越していた.DO 供給に対するAVS 応答を理解するために,一定の還元作用と可変の酸化作用を表現した二つのパラメータを有する簡略モデルを提案した.モデル結果は次の3つの特徴を示し,これらは一年周期のAVS 変化を定性的に説明できる応答特性である. 正弦波のDO 強制に対して,AVS は指数関数的(または双曲線関数的)な急増急減を示す. AVS が極大となる位相は,DO が極小となる位相から0°~90°の範囲で遅れる. 酸化還元速度が小さくなるほど,AVS の応答振幅は小さくなる.AVSの短期的な急減を説明するためには,通常時(非攪乱時)よりも1オーダ大きな酸化速度を伴う何らかの底泥攪乱が必要であることが推測されたが,具体的な攪乱要因については不明である.

収録刊行物

  • 沿岸海洋研究

    沿岸海洋研究 49 (1), 91-103, 2011

    日本海洋学会 沿岸海洋研究会

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