貨幣数量説とアダム・スミス

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タイトル別名
  • The Quantity Theory of Money and Adam Smith
  • カヘイ スウリョウセツ ト アダム ・ スミス

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抄録

本稿は、アダム・スミスと貨幣数量説の関係を考察したものである。スミスが貨幣数量説をとっていたかどうかという問題に関しては、必ずしも見解は一致していないが、大方の理解は、スミスは貨幣数量説をとっていなかったということにある。親友のヒュームが完成さえた説で、当時広く受け容れたれた貨幣数量説をスミスはなぜ受容しなかったのか。そこにはスミスが確立した労働価値論がある。労働価値論による価値決定を金属貨幣にも適用することで、貨幣量が貨幣価値を決定するという貨幣数量説とは異なる見解を導くことになる。アメリカ大陸の発見以降の大量の金銀のヨーロッパへの流入と価格の上昇という現象も、貨幣数量説によれば貨幣量の増加が原因であったが、スミスによれば、豊かな金や銀の鉱山の発見によるコストダウンとそれによる金や銀の支配労働の減少が、物価上昇の原因となる。

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