イギリス東インド会社とジャーギールダールの地税徴収権の分割 : 19世紀前半ボンベイ管区ラトナーギリー郡の「二重支配」を事例にして

書誌事項

タイトル別名
  • The divided right to collect land revenue between the English East India Company and Jagirdar : a case study of dutarfa in Ratnagiri Taluka of the Bombay Presidency in the early 19th century
  • イギリス ヒガシインド ガイシャ ト ジャーギールダール ノ チゼイ チョウシュウケン ノ ブンカツ 19セイキ ゼンハン ボンベイ カンク ラトナーギリーグン ノ ニジュウ シハイ オ ジレイ ニ シテ

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抄録

18世紀後半から拡大する英領インドの領域には,在地の徴収権保有者と会社政府の間で地税徴収権を分割する地域が多く点在していた。本稿はこの分割地域の考察による植民地支配の実態の解明を目的とし,1818年に植民地化したインド西部ラトナーギリー郡の,ボンベイ政府とジャーギールダールの徴収権分割について19世紀前半の状況に注目する。この分割は「二重支配」と呼ばれた。政府とジャーギールダールは地税徴収権のみならず,流通・経済面,司法面においても,種々の権限を分割していた。ただし両者のこれらの権限は,徴税請負人のコートや有力商人等の在地有力者を介して,行使されていた。ボンベイ政府とジャーギールダールの「二重支配」の関係は,ペーシュワーとジャーギールダールの間の18世紀後半の条約に従って前植民地期から継続していた。この関係は,ボンベイ政府の2政策,すなわち「失権ドクトリン」の適用と通関税の廃止によって変化する。これによりジャーギールダールの多様な権益は制限され,その勢力も減退する。この変化は,1830年代に始まる東インド会社の一連の新たな政策展開の中で起こっていた。

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