病/治癒のイメージについての臨床心理学的考察

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タイトル別名
  • A Clinical-psychological consideration of "Image of Illness and Healing"

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抄録

本稿では、古代の疾病観や、シャーマニズムやインキュベーションに見られる治療観、また、病や治癒に関わる語の源まで遡ることで、「病/治癒のイメージ」の臨床心理学的考察を行った。その中で、古来、治療や治癒とは、傷ついて病んだ身体の一部分を局所的に治すということではなく、人間関係をも含むその人の生きる世界全体のバランスの回復や、全体性の実現をも目指す、魂への配慮であり、その契機としての病のイメージについても理解することができた。近代医学の問題点も検討されたが、まさにその中にそれ自身を癒そうとする働きがあることも見て取ることができた。共同体に担われた「病/治癒のイメージ」を古代人のようには持てなくなった現代社会であるが、守られた場においては個々人の中でそうしたイメージが賦活し躍動し始めること、そして、それへのまなざしによって、現代社会が抱えている時代の病もが照射されてくる可能性があることについて述べた。さらに、人間存在の在り方を癒すものとしての「病/治癒のイメージ」について問題提起をし、論をくくった。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1570854177934464000
  • NII論文ID
    110009536645
  • NII書誌ID
    AA12209029
  • ISSN
    18813097
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • CiNii Articles

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