巌谷小波著『葉ぬけ爺』とその周辺

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  • Hanukejijii witten by Sazanami Iwaya

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抄録

"巌谷小波の創作お伽話「葉ぬけ爺」を中心にして,歯科との関連について考察を試みた.明治28年,雑誌「少年世界」(博文館)の主筆となった巌谷小波はその第1巻23号に「葉ぬけ爺」を掲載した.「葉ぬけ爺」の創作には小波自身はもとより友人や家族の歯痛や虫歯が引き金になったのではないかと考えられる.また小波は語呂合わせや言葉遊びの趨向をお伽話の題名などに多く用いていた.これらの事から,巌谷小波著「葉ぬけ爺」は語呂合わせの中に「歯を大切にしなさい」という寓意を含んでいるのは明らかである.小児を対象にした口腔衛生啓蒙書は大正,昭和初期に緑川宗作の「白い玉(口内の真珠)」や岡本清纓の「児童歯科読本」「むし歯の会議」などの著作を待たなければならない.よって明治期の世相を考えるに「葉ぬけ爺」は幼児の口腔衛生の啓蒙にいち早く貢献したのではないかと考えられる."

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参考文献 (17)*注記

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