前期難波宮東方官衙の「楼閣風建物」をめぐる復元的考察

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  • Reconstructive study on the lofty building SB14 of the former naniwa palace site

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抄録

2006年度に東方官衙東方で行われた発掘調査では、南に門を配し、周囲を塀(単廊)で囲んだ領域内に、建物SB14を配置する特徴的な区画(「東方郭」と仮称)が見つかった。なかでもSB14は「楼閣風建物」と目され、「眺望を楽しみ、宴席などを張る施設」とも考えられている。本稿では、建物SB14の上部構造を復元的に検討することで、それが「楼閣風」であったかどうかについて明らかにすることを目的とする。  検討の結果、柱径や柱高、「東方郭」の他の建物や前期難波宮の一般的な建物との比較から、建物SB14が「楼閣」にはなり難いことを示した。上部構造の復元では、屋根形態は切妻造・単層、建物内部は土間敷であり、建て替えがなされたが、建物規模・形式には変化がなかったことを指摘した。また「東方郭」の特徴としては、「閉鎖的・独立的」かつ「(小石敷きで舗装することから)公式的=パブリックな空間」であった点が考えられ、それが儀式的空間として使用された可能性について、予見を述べた。

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