医療保護入院・保護 (義務) 者制度を巡る論議の変遷

書誌事項

タイトル別名
  • イリョウ ホゴ ニュウイン ・ ホゴ(ギム)シャ セイド オ メグル ロンギ ノ ヘンセン
  • Changes of Controversy about Hospitalization for Medical Care and Protection, and Institution of Custodian (Protector)

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抄録

医療保護入院制度は 1950 (昭和 25) 年の精神衛生法で規定された同意入院と同様の性格を有する入院形態である。患者が入院を拒否する場合,保護者である家族等が同意をして入院をさせる非自発的入院である。この制度は日本特有とも言える保護者制度を前提にしており,精神障害者家族に長年にわたり多大な負担を強いて長期入院の一要因ともなってきた。この稿では,1965(昭和 40)年の精神衛生法改正から,1987 (昭和 62)年の精神保健法の改正時期,さらに1999 (平成 11)年の精神保健福祉法改正までを一括りとして医療保護入院と保護者制度に関する論議を振り返る。保護者制度は国際的にも稀な制度であり,常に論議の的になってきたが,なぜ今日まで存続し続けたのか。その背景を行政と専門家,あるいは当事者の論議を通覧することでまとめ直す。中でも特に1980 年代,精神病院不祥事件の社会的反響,国際的調査,勧告を受け,精神障害者の人権と社会復帰を掲げた精神保健法への改正過程は,日本の精神医療と人権を考える上での重要な論拠であり,議論のプロセスであり,現在もこの論議を越える見解は見当たらないと考えている。特にこの時期を綿密に検証することが,今後も精神医療と人権を検討する上で必要であり,過去の論議として反故にしてはならないと考察するものである。

精神医療と人権

医療保護入院

保護者制度

精神衛生法

精神保健法

identifier:FO000900007340

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