医師の裁量権と患者の自己決定権 : (1)両者は「医療過誤」にどう関わっているのか?

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  • Doctor’s Discretion versus Patient’s Self-determination : (Part I) Why do they matter with “Medical Malpractices?”

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抄録

本稿は,医師の裁量と患者の自己決定の間の対立的ならびに調和的関係について論ずる予定の一連の論考の第一部である.日常診療で「医師の裁量権」と「患者の自己決定権」が,医師―患者関係で果たす法的・倫理道徳的機能について検討した.次に,事例に触れつつ,「医師の裁量権」と「患者の自己決定権」の両者が「医療過誤」と構造的にどう関わっているのかについて考察した. 20 世紀後半からの臨床倫理の戦略は,医師―患者関係のモデルの中では,牧師モデルや工学モデルから契約モデルへと導き,両者の調和を図り,患者の自己決定権(インフォームド・コンセント)を保障することである.また,医事法でも,医師の「裁量権」と患者の「自己決定権」の双方が相互に調整される場合を,自律の原則が理想的に機能する形態としている.さらに,医師―患者関係の不調和の調停には,これまでのような医事裁判ではなくADR システムが調和的解決手段と位置づけられる.

医師の裁量権

患者の自己決定権

患者―医療者関係のPECモテ゛ル

医療過誤

ADR(裁判外紛争解決手続き)

identifier:HO000700007359

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