憲法26条2項(普通教育)の見地から学力テスト旭川事件最高裁判決を検討する

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タイトル別名
  • A Critical Study of the Supreme Court Decision on the Asahikawa Achievement Test Case
  • ケンポウ 26ジョウ 2コウ(フツウ キョウイク)ノ ケンチ カラ ガクリョク テスト アサヒカワ ジケン サイコウサイ ハンケツ オ ケントウ スル

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抄録

  1971 年、最高裁は、 1961 年に実施された全国一斉学力テストが違憲であるとする原判決 (1966 年地裁判決、 1968 年高裁判決 ) に対して、それを合憲とする判決を出した。 <br>  この判決は、「学力調査」を実施しようとする校長の行為が「公務」にあたるかどうかについて、検察官および弁護人の見解のいずれについても「極端かつ一方的」とし、最高裁としての独自の判断を示した点で注目された。しかし、この判決は重要な弱点を内在させていた。弱点とは、最高裁判決が憲法 26 条 2 項の解釈に踏み込み、「普通教育の絶対的必要性」に言及しながら、その条項及び語句については行政解釈や通念的な教育学的言説に依拠して解釈し、そこから結論を引き出したことである。この弱点は現在に至るまであまり自覚されないまま、教育裁判上の指針ともなってきた。小論はその弱点を明示し、憲法制定過程における第 26 条第 2 項全体の本来の意義を明らかにした上で、最高裁判決の法理を再検討するものである。 <br>  「日の丸・君が代」裁判、教科書裁判をはじめとするいわゆる教育裁判をめぐる最高裁判決も、基本的に本論で指摘した弱点を内在化させている。小論はこれまでの教育裁判上の法理上の弱点を指摘することでその見直しを迫る意義を有するものと考える。

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