古代日本の歴代遷宮と家族・親族システム

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タイトル別名
  • Family/Kinship System and the Renewal of the Palace with the Succession to the Throne in Ancient Japan
  • コダイ ニホン ノ レキダイ セングウ ト カゾク ・ シンゾク システム

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抄録

古代日本では,7世紀末まで王(天皇)の代替わりごとに宮が必ず移動している。歴代遷宮と呼ばれるこの現象は,先王の崩御→新王の即位・遷宮→立后(りっこう)(一部で立后の後に遷宮)という基本的なプロセスの中で行われており,婚姻居住制の現れである。そこで,古代日本の家族・親族システムを明らかにし,3世紀代から7世紀代にいたる歴代遷宮の様相を分析することで,以下の二つの問いに答えた。(1)なぜ代替わりのたびに王は新しい宮に居住したのだろうか。(2)なぜ5世紀代に王宮は巡回的に移動し,6世紀代には磐余,7世紀代には飛鳥に継続的に立地したのだろうか。(1)に対する答えは,「古代日本の家族システムは核家族であり,王位継承のプロセスに新居住婚が組み込まれていたため」である。また,(2)に対する答えは,「5世紀代には男系での王位継承制の導入にともなう拠点の(再)開発,6世紀代には新王統の誕生にともなう神話的拠点への集住,7世紀代には蘇我氏と渡来人集団によって開発された日本最初の都市空間への集住がみられたため」である。

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