潜在的食草を探るために10種のマメ科植物で飼育したミヤマシジミの生存と発育について

  • 江田 慧子
    Institute Mountain Science, Shinshu University
  • 尾崎 絵理
    Education and Research Center of Alpine Field Science, Faculty of Agriculture, Shinshu University
  • 中村 寛志
    Education and Research Center of Alpine Field Science, Faculty of Agriculture, Shinshu University

書誌事項

タイトル別名
  • The survival and development of Lycaeides argyrognomon (Bergstrasser) (Lepidoptera: Lycaenidae) reared on ten different leguminous plants for searching the potential food plants

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抄録

日本に生息しているミヤマシジミの食草はコマツナギであるが,海外に生息するミヤマシジミはコマツナギ以外の植物を利用している.本研究は潜在的食草を探るために,2011年6〜7月に,ミヤマシジミ幼虫に生息地の周辺でみられた10種のマメ科植物を与えて室内飼育を行った.幼虫は25℃,16L:8Dの恒温器で成虫まで飼育し,生存率,発育期間,蛹体重,前翅長を調べた.その結果、生存率はダイズの葉で44.4%,クサフジで45.5%,ナヨクサフジで61.3%,シロツメクサで20.8%であった.メスの発育期間は全ての食草でオスより長かった.蛹の平均体重の最小は21.80mg(シロツメクサ食のオス)で,最大は49.80mg(ダイズの葉食のメス),また前翅の平均長の最小は10.00mm(シロツメクサ食のオス)で,最大は13.75mm(ダイズの葉食のメス)であった.ダイズの実、ツルフジバカマ,ヤマハギ,メドハギ,アカツメクサを与えた幼虫は,少し摂食したがすべて死亡した.インゲンマメとネムノキは全く摂食しなかった.これより日本産ミヤマシジミは,コマツナギ以外のマメ科植物を食草とする潜在的な摂食習性を持っていると考えられた.

収録刊行物

  • 蝶と蛾

    蝶と蛾 63 (4), 178-185, 2012

    日本鱗翅学会

参考文献 (20)*注記

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