露地畑土壌における可給態窒素の各種簡易測定法の推定精度と抽出有機物の特性比較

  • 上薗 一郎
    (独)農業・食品産業技術総合研究機構中央農業総合研究センター:(現)鹿児島県農業開発総合センター
  • 加藤 直人
    (独)農業・食品産業技術総合研究機構中央農業総合研究センター
  • 森泉 美穂子
    (独)農業・食品産業技術総合研究機構中央農業総合研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Accuracy of various chemical extraction methods for estimating available nitrogen in upland soils and a comparison of the characteristics of extracted organic matter
  • ロジバタケ ドジョウ ニ オケル カキュウタイ チッソ ノ カクシュ カンイ ソクテイホウ ノ スイテイ セイド ト チュウシュツ ユウキブツ ノ トクセイ ヒカク

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抄録

土壌の種類や堆肥施用条件の異なる畑土壌を供試して,培養法による可給態窒素と既報の化学的抽出法による測定値との適合性,および抽出有機物の特性について抽出操作条件の一部を揃えて比較した.緩衝液や希酸による非加熱抽出法では,黒ボク土と黒ボク土以外の土壌の違いによって,抽出有機物量が大きく異なるため,堆肥施用によって高まった可給態窒素を適切に評価できなかった.一方,加熱を伴う抽出法では非加熱抽出法に比べて,培養法による可給態窒素と高い正相関を示す方法が多かった.その中で,加熱温度の高いAC変法では,堆肥施用によって高まった可給態窒素を評価できたが,土壌の種類の違いによる影響も大きかった,また,105℃加熱のAC法やSDS法においても,AC変法に比べるとその影響は小さいものの,土壌の種類の違いによって抽出有機物量に差が認められた.これらに対して,加熱温度が低い80℃ 16h抽出や100℃加熱の煮沸法の静置加熱抽出法では,土壌の種類の違いによる影響が小さく,堆肥施用によって高まった可給態窒素を適切に評価できた.さらに,80℃ 16h抽出では抽出有機物のC/N比が,土壌の種類や堆肥施用条件の違いによらず一定であることから,抽出された有機物のなかに,窒素無機化への寄与が低い有機物の割合が比較的少ないと考えられ,様々な種類の畑土壌堆肥施用土壌への適用性が高い化学的抽出法であることが示された.そこで,静置加熱抽出法について,抽出液の三次元蛍光分光分析を行った結果,加熱時間の経過とともにフルボ酸様物質の抽出量が増加した.また,抽出されたタンパク様物質は加熱時間の経過とともに分解し,これが,加熱時間の経過に伴って増加するアンモニウム態窒素の起源になっているものと推察された.

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参考文献 (24)*注記

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