桜島火山第四紀溶岩の地球化学及びSr-Nd-Pb同位体組成を用いたマグマ起源の解明(<特集>桜島火山)

  • 柴田 知之
    Beppu Geothermal Research Laboratory, Institute for Geothermal Sciences, Kyoto University
  • 鈴木 淳
    Beppu Geothermal Research Laboratory, Institute for Geothermal Sciences, Kyoto University
  • 芳川 雅子
    Beppu Geothermal Research Laboratory, Institute for Geothermal Sciences, Kyoto University
  • 小林 哲夫
    Graduate School of Science and Engineering, Kagoshima University
  • 味喜 大介
    Sakurajima Volcano Research Center, Disaster Prevention Research Institute, Kyoto University
  • 竹村 恵二
    Beppu Geothermal Research Laboratory, Institute for Geothermal Sciences, Kyoto University

書誌事項

タイトル別名
  • Geochemical and Sr-Nd-Pb Isotopic Constraints on the Origin and Magmatic Evolution of Quaternary Lavas of Sakurajima Volcano, Southern Kyushu Island, Japan(<Special Section>Sakurajima Special Issue)

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抄録

姶良カルデラの後カルデラ期の桜島火山に産する溶岩,及び,桜島周辺に産する前カルデラ期と単成火山の玄武岩について,主要元素・微量元素,ストロンチウム(Sr)・ネオジム(Nd)・鉛(Pb)同位体組成を測定した.桜島火山の溶岩は斜方輝石,単斜輝石,斜長石(稀にかんらん石)の斑晶を持つ,安山岩及びデイサイトである.微量元素組成から,島弧マグマの典型であるNbの枯渇,Rb・K・Pbの富化が観察され,マントルウェッジに水に富む流体が付加されたことを示す.Zr/Nb比はMORBの比に類似し,また,Sr・Nd・Pb同位体組成はMORB型マントルとフィリピン海プレート上の堆積物の混合曲線付近にプロットされる.これらは,桜島及びその周辺のマグマは,MORB型のマントルが沈み込んだフィリピン海プレート起源の流体の付加を受け部分溶融して生成したことを示す.さらに,Zr/Nb比や同位体組成が,前者はMORBの値から,後者はMORBとフィリピン海プレート上の堆積物との混合曲線から,それぞれ地殻物質の値へ向かう傾向を示すことから,地殻物質がマグマの化学組成に影響を与えた可能性が指摘される.Sr-Nd-Pb同位体組成から,少なくとも二つの地殻物質が桜島のマグマの起源に関与しており,そのうち一つは四万十層群の堆積岩を起源とすると考えられる.主要元素組成はハーカー図において,P2O5とTiO2を除き,直線的な傾向を示す.この事から,P2O5濃度をもとに,試料をlow-Pとhigh-Pに区分した.Low-Pとhigh-Pは斜長石の斑晶モード組成に対するSiO2,P2O5,TiO2濃度,及び,87Sr/86Sr比との間で,それぞれ異なるマグマ混合の関係を示す.また,主要元素と同位体組成の関係から,マグマ混合の両端成分を生成するには,地殻同化と結晶分化作用が同時に進行する過程(AFC)などの過程が必要であることが示された.

収録刊行物

  • 火山

    火山 58 (1), 43-58, 2013

    特定非営利活動法人 日本火山学会

参考文献 (40)*注記

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282679281558656
  • NII論文ID
    110009597091
  • NII書誌ID
    AN10512786
  • DOI
    10.18940/kazan.58.1_43
  • ISSN
    21897182
    04534360
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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