人工膝関節全置換術におけるナビゲーションシステムの 有用性に関する臨床的検討

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タイトル別名
  • Clinical study on the usefulness of total knee arthroplasty using navigation system
  • ジンコウ ヒザカンセツ ゼンチカンジュツ ニオケル ナビゲーション システム ノ ユウヨウセイ ニ カンスル リンショウテキ ケントウ

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抄録

論文(Article)

【背景】コンピュータ支援手術であるナビゲーションシステム(ナビ)は精緻で正確な手術を可能とし、人工膝関節全置換術(TKA)にも応用されるようになってきた。本研究では山形大学で行ったナビを用いたTKA(ナビTKA)の有用性について検討することを目的とした。対象と方法】2007年3月より2012年7月まで山形大学医学部附属病院にてTKAを行った症例119例143膝を対象とした。ナビを使用した群(ナビ群)は74例(70.5±11.1歳)86膝(男性14膝、女性72膝)、原因疾患は変形性膝関節症(OA)61膝、関節リウマチ(RA)25膝であった。ナビ群と比較する目的で2011年4月から2012年7月までの期間に従来の手術方法でTKAを行った群(従来群)は45例(71.9±9.7歳)57膝(男性14膝、女性43膝)、原因疾患はOA40膝、RA17膝であった。ナビTKAにおいて、大腿骨、脛骨の骨表面、関節表面のレジストレーション誤差、手術手技(ガイド設置、骨切り)の誤差を評価し、人工関節の設置角度、手術時間、問題点について従来群と比較検討した。【結果と考察】関節、骨表面の平均レジストレーション誤差は、大腿骨では内顆関節面0.76mm、外顆関節面0.64mm、内側上顆0.41mm、外側上顆0.36mm、前方骨皮質0.20mmであった。脛骨では内顆関節面1.13mm、外顆関節面0.87mm、脛骨粗面0.09mm、内顆骨皮質では0.22mmであった。骨切りガイドの誤差は、初回の骨切りの誤差よりも大きかったが、修正の骨切りを行うことにより、補正することができた。単純X線によるコンポーネント設置角度は大腿骨で89.9°、脛骨で90.5°であり、3°以上の誤差を認めた症例はナビ群で大腿骨と脛骨ともに5.1%と従来の手術と比べて逸脱率が有意に小さかった。手術時間は従来法と比較して平均24分の延長を認めた。ナビ手術に関連する重篤な有害事象は認められなかった。【結論】ナビはTKAにおける正確な手術の実施のために有用と考えられた。

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