居住地域の健康格差と所得格差(<特集>地域格差の経済地理学)

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タイトル別名
  • Neighbourhood Inequalities in Health and Income in Japan(<Special Issue>Economic Geography of Regional Inequalities)
  • 居住地域の健康格差と所得格差
  • キョジュウ チイキ ノ ケンコウ カクサ ト ショトク カクサ

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抄録

所得格差に代表される経済的格差は,健康をはじめとする生活の質の格差を生み出すと考えられてきた.本稿では,所得格差と健康格差の関係に着目し,所得階層別の居住者の構成以上に近隣スケールの居住地域間に健康水準の違いを生む居住地域の効果(文脈/近隣効果)が存在するのかを検討した.具体的には,日本全体を対象とする日本版総合的社会調査2000-3累積データと社会地区類型(Mosaic Japan)データを結合し,主観的健康感を規定する文脈効果の存在を,マルチレベル分析を利用して検討した.その結果,以下の諸点が明らかとなった.(1)社会地区類型間では,個人の等価所得水準を調整しても有意な健康水準の地域差が認められ,それはとくに所得階層の低い人々で明確であった.(2)社会経済的な住み分けに対応するような平均所得水準と対応する健康水準の格差の存在も示唆されたが,同時に大都市圏の中心部に位置する社会地区類型のように,所得格差による健康格差を拡大する地区類型の存在が確認された.以上の結果から,日本社会でも居住地域に根ざした文脈効果が存在し,それは健康の地域間格差を生み出す要因であるとともに,健康の社会格差を規定する要因の1つと考えられた.

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被引用文献 (2)*注記

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