アメリカにおけるSTEM教師教育 : 主要研究誌における提言と、初等学校科学教師教育と児童到達度の関連に関する長期研究の結果(<特集>科学教師教育)

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タイトル別名
  • STEM Teacher Development in the United States : Key Research Recommendations and Results from a Longitudinal Study of K-5 Science Teacher Development on Student Achievement

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抄録

本論文では、National Research Council(全米研究評議会)によってなされた科学教師の専門性育成のフレームワーク(スタンダード)に関する提言を吟味し、あわせて1990年代後半の諸文献に見られる提言方策を吟味している。これらの方策は、コロラド州のPikes Peak地域の5つの広域学区(85校の初等学校からなる)における研究をNSFが支援するよう求めた申請の有効な基盤を形作っている。その研究は、Kから第5学年の教師の教授行動を変容させ、ひいてはそれが生徒の到達度の改善をもたらすような、長期間にわたる教師教育システム改善に関するものであった。本論文では、ここで行われた二つの研究について成果の要約を報告する。一つ目は、Science Teacher Enhancement Project unifying the Pikes Peak region (STEP-uP)というプロジェクトで行われた教師教育モデルについてである。その効果量は全体としては小さかったが、読み、書き、算数の到達度に対しては有意な効果が認められた。二つ目は、教師教育モデルのどの要素が生徒の到達度に影響を与えたかを吟味したものである。具体的には、より能動的な教師の教授方略の採用と、読み、書き、算数、そして科学における生徒の到達度のレベルの相関を探った。その結果、能動的な学習の実施が可能となるようなプログラムが、第5学年の生徒の学習(科学では最大1.8の効果量)の実質的な向上につながった。この効果が認められたのは、STEM-uPの特定のプログラムに参加した第2学年から5学年の教師によって授業が行われた場合である。結論においては、我々が生徒の学習向上を望むときに採るべき専門性育成の方策について、近年現れつつある提言について議論している。

収録刊行物

  • 科学教育研究

    科学教育研究 37 (2), 75-87, 2013

    一般社団法人 日本科学教育学会

参考文献 (22)*注記

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