消化管がん治療の進歩(2012年,第53回日本心身医学会総会ならびに学術講演会(鹿児島))

  • 篠村 恭久
    札幌医科大学医学部消化器・免疫・リウマチ内科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Advances in the Treatment of Gastrointestinal Cancers
  • 消化管がん治療の進歩
  • ショウカカン ガン チリョウ ノ シンポ

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抄録

内視鏡治療や分子標的治療の進歩により,消化管がんの治療成績が向上している,大腸癌や胃癌,食道癌は,画像強調観察など内視鏡診断の進歩により微小な早期癌が発見されて,内視鏡治療例が増加している.内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の開発により大きな腫瘍の一括切除が可能になって,治療成績が向上している.分子標的薬imatinibは,消化管間質腫瘍(GIST)に高頻度に遺伝子変異がみられるKITやPDGFRαを標的としたチロシンキナーゼ阻害薬であり,切除不能・再発GIST症例に用いられて,劇的な効果を発揮し,生存期間を著明に延長させている.切除不能の大腸癌と胃癌においても,腫瘍細胞増殖や血管新生にかかわる分子を標的としたモノクロナール抗体医薬が開発されて,治療成績が向上している.分子標的薬は,副作用が少なく,優れた効果を発揮するが,薬剤耐性が出現する問題があり,薬剤耐性の克服は今後の重要な課題である.

収録刊行物

  • 心身医学

    心身医学 53 (7), 646-651, 2013

    一般社団法人 日本心身医学会

参考文献 (8)*注記

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