イギリスのARGによる「学習のための評価」論の考察

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タイトル別名
  • Consideration of "Assessment for Learning" by ARG in England
  • イギリス ノ ARG ニ ヨル 「 ガクシュウ ノ タメ ノ ヒョウカ 」 ロン ノ コウサツ

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抄録

わが国の形成的評価概念は,1970年前後にスクリヴァンやブルームによって提唱された考え方を,現在も色濃く残している。しかし,欧米では,1990年代以降,形成的評価を再考し,新たな理論的発展を希求する動きが出現している。例えば,イギリスでは,現在,1988年の教育改革によって誕生したナショナル・テスト体制が見直されようとしており,新たな評価システムを構築する理論として注目を集めているのが,ARG (Assessment Reform Group)によって提唱されている「学習のための評価(Assessment for Learning)」論である。本稿は,この「学習のための評価」論の内実と,その教育評価論としての意義を考察するものである。「学習のための評価」論は,ポール・ブラックやディラン・ウィリアムらの形成的評価研究を土台として生みだされた。その研究の中でブラックらは,教師の指導改善という視点から語られてきた形成的評価を学習者の側の視点から再度,組み直すことで,形成的評価論を発展させる展望を示した。端的に言い表すならば,それは形成的評価論を構成主義の学習観によって再理論化する試みであった。ARGによって1999年に立ち上げられたKMOFAPというプロジェクトは,形成的評価論を構成主義の学習観にもとづき再構築することを教師との共同研究によって実践的に探究しようとするものであった。このプロジェクトを通じて「学習のための評価」論は,構成主義の学習観にもとづく形成的評価論という新たな地平を切り拓くものとなった。

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