神戸市における黄砂時の大気中の浮遊土壌粒子の特徴

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タイトル別名
  • Characteristics of atmospheric suspended soil particles in the Asian dust-storm period in Kobe city
  • コウベシ ニ オケル コウサジ ノ タイキ チュウ ノ フユウ ドジョウ リュウシ ノ トクチョウ

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抄録

2003年4月神戸市において黄砂時の大気中の粒子をアンダーセンインパクタを用いて採取した.これらの粒子をエネルギー分散型蛍光X線を接続した電界放射型走査電子顕微鏡を用いて分析を行った.これら黄砂粒子の中で土壌粒子は,その化学的特徴から,Si-rich,SiAl-rich,SiAl+Na/K/Ca,SiAlK+Fe/MgおよびSiAl+Na/K/Ca/Mgの5つに区分可能である.また,黄砂時の土壌粒子を電界放射型走査電子顕微鏡によりその形態や化学的特徴を検討した結果,S,Clや重金属元素を含むなど多くの元素からなる粒子が多いことが判明した.黄砂時のSiAl+Na/K/Ca/Mg組成をもつ土壌粒子の粒径分布をみると,1.17μmから3.45μmの粒径のものが多くを占めた.黄砂時のこれら粒径の土壌粒子の構成比は約38%であるが,一方,非黄砂時の同じ粒径の土壌粒子の構成比は約15%と低い.これらから,大気中の土壌粒子数は黄砂由来の土壌粒子に強く影響されている.黄砂粒子は海塩,鉄球やイオウ粒子などを含む微小な土壌粒子の集合から主になっている.それら微小な土壌粒子がお互いに付着した結果,一つのやや大きな粒子をなしている.これらのことは,黄砂粒子が黄砂の輸送過程で微小な土壌粒子の相互の付着で形成されたことを示唆している.

収録刊行物

  • 地球科学

    地球科学 67 (4), 119-129, 2013

    地学団体研究会

参考文献 (19)*注記

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