南伊豆での露地栽培試験及び実験的手法によるフタバガキ科3種の低温感受性の評価

書誌事項

タイトル別名
  • Evaluation of chilling sensitivity of three species of Dipterocarpaceae by experimental methods and planting trial in southern part of Izu Peninsula, Japan
  • ミナミイズ デ ノ ロジ サイバイ シケン オヨビ ジッケンテキ シュホウ ニ ヨル フタバガキカ 3シュ ノ テイオン カンジュセイ ノ ヒョウカ

この論文をさがす

抄録

フタバガキ科樹木の天然分布を規定する低温に対する感受性を,南伊豆の圃場に植栽した苗木の秋から冬にかけての葉の光合成機能低下と茎の形成層壊死の経時変化を調べ評価した。Hopea odorataとShorea roxburghii, Shorea multifloraの3種を供試した。光化学系IIの最大量子収率(Fv/Fm)は,いずれの種も,日最低気温が10℃以下,日最低地温(深さ10cm)が15℃以下,日中(10〜13時)の平均気温が20℃以下の日が連続するようになってから低下が明瞭になったが, S. multifloraの低下が他の2種に比べ大きかった。葉または根を低温処理する実験によって,気温の低下に伴うFv/Fmの低下には日中の気温低下の影響が大きいことが示唆された。S. multifloraの茎の形成層は,日最低気温が5℃以下になることが多くなった12月に半数の供試苗で, -0.3℃を観測した1月に全ての供試苗で壊死した。一方, H. odorataとS. roxburghiiの茎の形成層は,日最低気温-2.4℃を観測した2月でも半数の供試苗で壊死せず, 3月になってすべての供試苗で壊死した。茎に比べて,葉はより高い低温感受性を示すこと,他の2種に比べて,天然分布の北限の緯度が低いS. multifloraの低温感受性が高いことが明らかになった。

収録刊行物

  • 森林立地

    森林立地 55 (1), 27-35, 2013

    森林立地学会

参考文献 (26)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ