摂食障害において親を発症原因とすることの意義と弊害 : 拒食症の1事例に対する「物語」の視点を用いた質的解析

書誌事項

タイトル別名
  • The Merits and Demerits of Making Parenting a Cause of Eating Disorders : A Qualitative Analysis of a Case of Anorexia Nervosa through a Patient's Narrative
  • セッショク ショウガイ ニ オイテ オヤ オ ハッショウ ゲンイン ト スル コト ノ イギ ト ヘイガイ : キョショクショウ ノ 1 ジレイ ニ タイスル 「 モノガタリ 」 ノ シテン オ モチイタ シツテキ カイセキ

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抄録

不適切な親子関係が摂食障害を引き起こすとするモデル(=「家族モデル」)は,すでに多くの批判にあい,現在主流の機序モデルではない.しかし,このモデルは当事者や家族に対し,いまだ強い影響力をもつ.これまで「家族モデル」に対する批判は「正・誤」の二項対立の中で展開されてきたが,単に「家族モデル」を「誤り」とするだけでは,このモデルがいまだ当事者や家族に受容される理由を明らかにすることはできない.したがって,本稿は,「家族モデル」を内面化したと思われる1事例を取り上げ,当事者にとっての「家族モデル」の意義とその内面化の功罪を,「物語」の観点から解析した.結果,「家族モデル」は,親を原因とすることで,当事者を病気にかかったことの罪悪感から救済するが,疾病利得を生み出し,救済の範囲を親子関係の中にとどめて,社会性の回復を促さないという弊害も見出された.

収録刊行物

  • 心身医学

    心身医学 53 (9), 849-856, 2013

    一般社団法人 日本心身医学会

参考文献 (25)*注記

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