アジア産蘚苔類の分類・生態ノート27. : フウチョウゴケは形態が酷似するM. submacrocarpumと生育環境が異なる

書誌事項

タイトル別名
  • Taxonomical and ecological notes on Asian bryophytes, 27. : Macrothamnium macrocarpum differs from the closely related M. submacrocarpum (Hylocomiaceae, Musci) in their habitat preference
  • アジアサン センタイルイ ノ ブンルイ ・ セイタイ ノート(27)フウチョウゴケ ワ ケイタイ ガ コクジ スル M. submacrocarpum ト セイイク カンキョウ ガ コトナル

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抄録

ともに東アジア温帯に広く分布するフウチョウゴケMacrothamnium macrocarpumとM.submacrocarpumは,外部形態,特に葉形が互いに酷似しており,立ち上がる二次茎が,前者では疎らな一回〜二回羽状分枝(Figs.3&8)であり,後者は密に二回羽状分枝する(Fig.6)ことでわずかに区別されている.タイ北部インタノン山2,300m付近の林内を流れる沢沿いにおいて,この両種が隣接する異なる生育環境に側所的に棲み分けて生育していることを観察した.フウチョウゴケは渓流内の岩盤上に半ば砂に埋もれていたが,M.submacrocarpumは水辺から離れた,降雨時にも冠水することはない大木の株元や倒木上に生育していた(Figs.5&6).フウチョウゴケが渓流沿い環境に生育することは,鹿児島県屋久島(1カ所;Figs.7&8)とボルネオ島キナバル山(2カ所)においても確認することができた.フウチョウゴケに見られる,葉が茎に密着してその結果葉と枝全体で円筒形となること,立ち上がる二次茎がまばらに分枝することは,渓流沿いに生育する蘚苔類種の典型的な特徴であると考えられる.

収録刊行物

  • 蘚苔類研究

    蘚苔類研究 10 (10), 347-351, 2013

    日本蘚苔類学会

参考文献 (9)*注記

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