審美性歯面コート材の表面性状と細菌付着性

DOI
  • 伊藤 知佐
    朝日大学歯学部口腔機能修復学講座歯科保存学分野歯冠修復学
  • 作 誠太郎
    朝日大学歯学部口腔機能修復学講座歯科保存学分野歯冠修復学:さくデンタルクリニック
  • 田村 大輔
    朝日大学歯学部口腔機能修復学講座歯科保存学分野歯冠修復学
  • 堀田 正人
    朝日大学歯学部口腔機能修復学講座歯科保存学分野歯冠修復学

書誌事項

タイトル別名
  • Surface Characteristics of Esthetic Tooth-coating Materials and Bacterial Adhesion Characteristics

この論文をさがす

抄録

目的:修復物の表面性状は重要であり,細菌の付着や歯垢の形成に影響していると考えられている.本研究では,2種類の歯面コート材を用いて光沢度と表面粗さおよび細菌付着との関係を検討した.材料と方法:市販の各歯面コート材は表面処理方法の違いにより,ビューティコートはポリエステルフィルム圧接群(BCA),付属の研磨器具による仕上げ研磨群(BCP),付属のレジン硬化促進剤を塗布したグロスエフェクト群(BCG)とし,ホワイトコートはポリエステルフィルム圧接群(WCA),付属の研磨器具による仕上げ研磨群(WCP),付属の表面滑沢材を塗布したトップコート群(WCT)とした.各試料表面を三次元電子線粗さ解析装置により表面粗さ,60度鏡面光沢法により光沢度を測定し,齲蝕原性細菌のStreptococcus mutansに対する抗菌性および初期付着細菌のStreptococcus oralisの付着性との関係を検討した.成績:各表面処理による2種類の歯面コート材の表面粗さには有意差はなかったが,光沢度は有意に異なっておりBCA, WCA>BCG, WCT>BCP, WCPの順であった.4℃と60℃の水中におけるサーマルサイクリング1,000回の影響はなかった.また,各表面処理による2種類の歯面コート材のS.mutansに対する抗菌性は認められなかったが,S. oralisの付着性ではBCA・BCPがほかのものに比べて有意に少なかった.このことから,表面粗さ(Ra)が0.1μm以下で光沢度が40〜90%の歯面コート材における細菌付着性は表面粗さや光沢度が影響するのではなく,歯面コート材の組成,特にS-PRGフィラーやフッ化ナトリウムが影響している可能性が推測された.結論:ビューティコートとホワイトコートの表面処理による表面粗さに有意差は認められなかった.また,表面処理ごとの光沢度をサーマルサイクリング前後で比較したところ有意差は認められなかったが,各表面処理の相違により光沢度は有意な差を認め,圧接群,グロスエフェクト群,トップコート群,研磨群の順に光沢度は低下した.さらに,ビューティコートとホワイトコート間の抗菌性に有意差は認められなかったが,各群への細菌付着性を検討した結果,最も多く細菌が付着した群はホワイトコートにトップコートを塗布したものであり有意差を認めた.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ