無血清培養系を用いたマウスES細胞からの顎顔面骨の形成

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タイトル別名
  • Induction of craniofacial bone from spheres of mouse embryonic stem cells cultured in a serum-free culture
  • ムケッセイ バイヨウケイ オ モチイタ マウス ES サイボウ カラ ノ ガク ガンメンコツ ノ ケイセイ

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抄録

顎骨領域において,失われた骨を再生する治療方法の一つとして,分化多能性をもつ幹細胞を用いる方法が,近年注目を浴びている.顎顔面骨のほとんどは,体幹骨格のように中胚葉由来の軟骨性骨化とは異なり,神経堤に由来する.そこで本研究においてわれわれは,マウスES細胞を選択的に神経外胚葉に分化させ,そこから神経堤細胞を経た顎骨への分化誘導を検討した.<br>   まず,ES細胞を無血清神経誘導培地中でsphere形成させ,特異的抗体を用いた免疫組織染色で神経前駆細胞および神経堤前駆細胞の存在を確認した.その結果,sphere中のほとんどの細胞はNestin陽性の神経前駆細胞に分化し,その中にAP2α陽性の神経堤前駆細胞が高頻度で観察された.これらの結果は,未分化ES細胞がsphere中で神経前駆細胞を経て一部が神経堤前駆細胞に分化したことを示している.次に神経堤前駆細胞を含むsphereから骨誘導が可能かどうかを調べるため,dexamethasoneを含む骨誘導培地でsphereを18日間接着培養した.その後,アリザリンレッドSで染色すると,カルシウムの沈着がみられた.このことは,sphereから骨誘導が行われたことを示している.以上の結果は,無血清培養系を用いたES細胞から顎骨形成が可能であることを示唆している.

収録刊行物

  • 歯科医学

    歯科医学 75 (2), 65-69, 2012

    大阪歯科学会

参考文献 (12)*注記

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