【総説-受賞論文-】 イネを用いた澱粉生合成関連酵素の機能解明とユニークな澱粉の開発

  • 藤田 直子
    秋田県立大学生物資源科学部生物生産科学科植物分子生理グループ

書誌事項

タイトル別名
  • [Review: Prize-awarded article] Function of Starch Biosynthesis-related Isozymes in Rice and the Production of Novel Starches
  • 受賞論文 イネを用いた澱粉生合成関連酵素の機能解明とユニークな澱粉の開発
  • ジュショウ ロンブン イネ オ モチイタ デンプン セイゴウセイ カンレン コウソ ノ キノウ カイメイ ト ユニーク ナ デンプン ノ カイハツ

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抄録

澱粉生合成メカニズムの完全解明を目指して, イネ(Oryza sativa L.)を材料に, 澱粉生合成に関与する多数のアイソザイムの機能解明を行った。逆遺伝学的手法でこれまで機能が未解明であったスターチシンターゼ(SS)I型, IIIa型およびプルラナーゼの変異体を単離し, 各アイソザイムの機能を明確にした。また, 枝切り酵素の1つであるイソアミラーゼ1(ISA1)活性をアンチセンス法で制御することで, アミロペクチンの構造を人工的に改変させた植物澱粉を得ることに成功し, amylose-extender変異体にその原因遺伝子であるBEIIb遺伝子を導入することで, BEIIb発現量が様々に異なる形質転換イネを作出し, 糊化温度や結晶型をも人工的に制御することに成功した。さらに, 単離酵素の性質を直接調べるin vitro実験を通して, in vivo実験による各アイソザイムの機能を裏打ちした。最近は, 単離済みの変異体を交配した二重変異体イネの開発を精力的に行っている。ユニークな澱粉として産業利用される可能性があるだけでなく, これまで表現型が野生型と類似していたために機能が不明であったアイソザイムの機能を明確にする材料として有効であり, 今後その成果が期待される。

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参考文献 (41)*注記

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