柔道稽古後の筋損傷と好中球活性酸素種産生能の関連について

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タイトル別名
  • The relationship between muscle damage and reactive oxygen species production capability after judo exercise

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抄録

 柔道選手を対象として稽古前後の好中球機能と筋損傷の関係を調査した.<br>  39人の男子大学柔道選手において,普段の2時間の稽古前後に体組成と生化学指標 (好中球数,好中球機能(活性酸素産生能 (OBA),貪食能 (PA)),筋逸脱酵素 (LDH (乳酸脱水素酵素),アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST),アラニンアミノトランスフェラーゼ (ALT)など) を測定した.<br>  稽古後に筋逸脱酵素は増加し,稽古に伴う筋組織の損傷と変性によると考えられた.また,稽古後に好中球数と OBA は増加し,逆に PA は低下した.一方,OBA の変化量は LDH および AST の変化量と負の相関関係を示し(p<0.01),PA の変化量は LDH,AST の変化量と正の相関関係を示した (p<0.05).<br>  筋損傷に対する PA の変動 (正の相関) の要因としては,筋損傷に伴う筋肉の断裂片のような生理学的異物に対して好中球の異物反応が亢進した可能性が考えられた.また,筋損傷に対する OBA の変動 (負の相関) の要因としては,好中球の各機能間における補完機構が OBA と PA の間で生じた可能性が考えられた.

収録刊行物

  • 弘前医学

    弘前医学 64 (2-4), 176-185, 2014

    弘前大学大学院医学研究科・弘前医学会

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