神奈川県伊勢原市における地下水および河川の長期水質変動

書誌事項

タイトル別名
  • Long term change in the quality of ground and river water in Isehara city, Kanagawa
  • カナガワケン イセハラシ ニ オケル チカスイ オヨビ カセン ノ チョウキ スイシツ ヘンドウ

この論文をさがす

抄録

神奈川県伊勢原市の山村,農業地帯および住宅地帯にある22の井戸は硝酸性窒素の汚染水準亭度により1〜5の5類型に区分された.硝酸性窒素汚染がすすんだI,II類型は家畜飼養が集中する高部屋地区にある渋田川上流域上流部の高地畑作地帯と大田地区にある渋田川上流域下流部と歌川流域にまたがる低地畑作地帯の井戸群であった.野菜・果樹作における施肥と畜産廃棄物の厩肥利用などによる窒素負荷が原因となっていることが示唆された.III類型・IV類型は基準値には達しないが汚染が認められるもので,新興住宅地や山地の井戸,V類型は汚染がきわめて少ないもので,水田地区にある井戸が各々該当した.河川の採水地点を硝酸性濃度によってRI〜RVの5類型に区分した.もっとも汚染の大きなRI類型には渋田川上流域上流部の1地点と鈴川の下水処理場直下の1地点が該当した.低地水田地帯を流れる歌川の採水地点では硝酸性窒素濃度が秋冬の非用水期に上昇,春夏の用水期に低下する時期的な変動を示した.1992〜2008年にかけての地下水の年平均硝酸性窒素濃度は高地畑作地帯,低地畑作地帯ですべての年で環境基準(10mgL^<-1>)を超え,果樹園地帯でも基準を上回った.河川水の硝酸性窒素濃度は丘陵地・台地の農業地域を流れる渋田川と市街地を流れる矢羽根川において高濃度で推移した.地下水の硝酸性窒素濃度は,周辺の状況と窒素安定同位元素の存在比から,化学肥料の施肥と家畜糞尿の土壌還元の影響を強く受けていると推定された.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ