『マルテの手記』におけるパリの空間と幼年時代

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タイトル別名
  • Pariser Raum und Kindheit in den "Aufzeichnungen des Malte Laurids Brigge"
  • マルテ ノ シュキ ニ オケル パリ ノ クウカン ト ヨウネン ジダイ

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抄録

小説『マルテの手記』は、20世紀初頭のパリで不安と苦悩の日々を過ごしたリルケが、後の『ドゥイノの悲歌』の詩人へと自己形成を遂げていく転機にあって、手記という散文形式において自己省察を試みた特異な書物である。大都市の匿名性のなかで語り手は自己解体の危機に瀕しながら、自分を悩ませるさまざまな不安の形象を描き出し、記憶の断片をたどって生の再構築を試みる。そこに仄かに浮かび上がってくるのが、個人のアイデンティティを超える生の予感である。そして、それまで異郷を彷徨うように生きてきたマルテ=リルケは、詩人としての全的な生を手に入れるため、改めて自己の幼年時代との直面を要求されることになる。--本稿では以上のようなプログラムによって『マルテの手記』読解の可能性を探る。

収録刊行物

  • 研究論集

    研究論集 99 151-167, 2014-03

    関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部

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