整数計画法に基づく多声音楽のモチーフ分析-集合分割問題としての定式化-
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抄録
多声音楽における顕著な特徴は,主題,応答,対主題,反復進行,その他の状況において,各声部で同じ旋律パターン (モチーフ) が頻繁に摸倣,反復されることである.また,モチーフの反復においては反行,逆行,拡大,縮小などの変換やそれらの合成変換が加えられた形をとることも多く,変換の前後のモチーフを同一視し,同値類で考えることも重要である.したがって本稿では,できるだけ少ない種類のモチーフ (同値類) を多く使い回すような経済性を多声音楽の構成原理と考え,反復されるモチーフ群によって曲全体を最も効率的に分割,再構成する楽曲分析を目的とする.このような曲全体を大域的に考慮した最適化は膨大な計算量を必要とする困難な問題である.我々はそれを解決するため整数計画法によるアプローチをとる.本問題は,曲中の各音符の集合がモチーフの集合内のいずれかの要素によって一度だけ被覆されるという条件を満たす最適なモチーフの組み合わせを求める集合分割問題として定式化できる.集合分割問題は良く知られた整数計画問題であり,分枝限定法などを用いた整数計画ソルバーによって高速に解を求めることができる.このようなモチーフ分割が可能となれば,楽曲構造の明確化に役立ち,演奏者への楽曲解釈の支援や,自動演奏,自動作曲などの基礎技術として多くの応用につながるだろう.
収録刊行物
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- 情報処理学会研究報告. [音楽情報科学]
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情報処理学会研究報告. [音楽情報科学] 2014 (22), 1-4, 2014-08-18
一般社団法人情報処理学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1571980077824081664
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- NII論文ID
- 110009815129
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- NII書誌ID
- AN10438388
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- CiNii Articles