菊池寛 交錯する「東京行進曲」 : 映画小唄の牽引力

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タイトル別名
  • Kikuchi Kan and "Tokyo Koshin-kyoku" : the Effect of a Movie Song on Fiction
  • キクチカン コウサク スル 「 トウキョウ コウシンキョク 」 : エイガ コウタ ノ ケンインリョク

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抄録

菊池寛「東京行進曲」(『キング』一九二八・六〜一九二九・一〇)は、連載中に日活によって映画化(溝口健二監督)され、初の映画主題歌(西條八十作詞、中山晋平作曲)が制作された。先行論においては、文芸映画としての興業価値が考察され、脚色者が小説に忠実なあまりに映画・小説共に失敗作となったと結論づけられている。しかし、小説は未完であり、映画の後半部分は小説に準拠し得なかった。本稿では当時流行した小唄映画という形式に着目し、三者(映画・小説・主題歌)の関係性を改めて検証する。小説がむしろ主題歌(映画小唄)に牽引される形で生成されていった様相を、戯曲と照合することも含めて明らかにし、「無声映画」の音や語りとの有機的な結びつきから生まれたテクストとして、菊池寛の代表作「東京行進曲」成立の多層性について論究する。

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