肩腱板断裂患者における臨床像、MRI所見、および病理組織像の関係 : 生検筋組織所見に着目して

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タイトル別名
  • The analysis of the relationship among clinical features, MRI and pathological findings in the patients with torn rotator cuff muscles of the shoulder -special reference to the findings of biopsied muscular tissue samples-
  • カタケンバン ダンレツ カンジャニ オケル リンショウゾウ MRI ショケン オヨビ ビョウリソシキゾウ ノ カンケイ セイケン キンソシキ ショケン ニ チャクモクシテ

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抄録

論文(Article)

【緒言】肩腱板断裂後の腱板筋には脂肪変性が起こるとされている。これまで、解剖用献体を用いた病理組織学的検討や、動物実験における画像所見と病理組織像の比較検討は行われてきたが、有症状の腱板断裂患者における腱板筋の病理学的特徴や、そのMRI所見、および臨床病態との関係も明らかではなかった。 【目的】肩腱板断裂患者でMRI上みられる脂肪変性所見の病理組織学的特徴およびそれらと術前の臨床像との関係を明らかにすることを目的とした。 【対象と方法】対象は当院で腱板断裂の手術を行った患者41例43肩であった。MRIで断裂の大きさ、脂肪変性の有無(中垣分類)について評価した。また、手術時に棘上筋と棘下筋から針生検で筋組織を採取して病理組織学的に検討し、筋線維間の脂肪浸潤について評価した。病理組織像、MRI所見および術前の臨床像の関係を検討した。 【結果】MRIで脂肪変性を、病理組織像では筋線維間に脂肪細胞の浸潤をそれぞれ一部の例で認めた。棘上筋・棘下筋の双方とも、MRIでの脂肪変性あり群では脂肪変性なし群と比較すると、断裂は大きく、同様に病理組織においても、脂肪浸潤あり群では脂肪浸潤なし群よりも断裂は大きかった。また棘上筋において、MRIで脂肪変性がみられた群では、病理組織像での筋線維間の脂肪浸潤もみられやすく、脂肪変性がみられなかった群では脂肪浸潤もみられにくいという関係があった。 【考察】本研究の病理組織像の検討結果からは、断裂を生じた腱板筋の筋線維間に脂肪浸潤が起こっており、MRI所見として棘上筋の筋腹にみられた脂肪変性と、同部より採取された筋組織にみられた脂肪浸潤の間には有意な関連がみられた。MRIT1強調像でみられる棘上筋内の高信号は、筋線維間の脂肪細胞を表現しているものと考えられた。

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