宗教はなぜ科学による基礎づけを求めるのか : 創造論運動を事例とした分析哲学的考察

書誌事項

タイトル別名
  • Why do Some Religions Call for Justification Based on Science? : An Analytic Philosophical Study with the Case of Creationism
  • シュウキョウ ワ ナゼ カガク ニ ヨル キソズケ オ モトメル ノ カ : ソウゾウロン ウンドウ オ ジレイ ト シタ ブンセキ テツガクテキ コウサツ

この論文をさがす

抄録

本稿では、「なぜ宗教的なものが科学に基礎づけられることで自らを正当化しようとするのか」という問題について、分析哲学の手法を用いて考察する。その際、創造論、とりわけ自らを「科学である」とする創造科学やID論を事例として取り上げる。それらが科学性を主張するのは、公教育を巡る建前であるだけでなく、科学の優位を前提する社会通念の反映でもあり、ここに宗教と科学の間の現代的な捻れがあると読み取れるのだ。そこで筆者はまず、宗教と科学を概念図式及び言語ゲームとして捉え、個々に分析した。そしてそれらを状況に応じて選択する母体として「メタ概念図式」を措定し、さらに概念図式及び言語ゲームとメタ概念図式との間にある循環関係も考慮した「二重の概念図式理論」を提起する。それを創造論に適用することで、宗教と科学の捻れを解消するに至った。この理論は、ウィトゲンシュタイニアン・フィデイズムのような概念相対主義を乗り越える試みでもある。

収録刊行物

  • 宗教研究

    宗教研究 88 (1), 99-121, 2014

    日本宗教学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ