少頭数の放牧牛群においてグループサイズが移動方向の一致の程度に及ぼす影響

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  • Effect of group size on the consistency of movement direction among cows in a small grazing group

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抄録

少頭数の放牧牛群においてグループサイズが他個体との移動方向の一致の程度に及ぼす影響を、パッチ内移動、パッチ間移動を解析することで検討した。1.6haのイネ科主体草地にホルスタイン種乾乳牛3頭もしくは6頭を1日5時間放牧した。供試牛にGPSを装着し1秒間隔で位置データを得た。本論文ではパッチはフィーディングステーション(前肢を動かさずに採食できる範囲;FS)の集合と定義し、パッチ内移動とパッチ間移動を区分するためにFSおよびFS間移動を観察した。各々のパッチ内、パッチ間移動について、実際の移動距離(ADM)および他個体の移動方向と一致した方向への移動距離(DMCD:ADM×COS[α],αは対象牛の移動方向と群他個体の中心座標の移動方向との角度差)を算出した。総DMCDが総ADMに占める割合(DMCD割合)も算出した。パッチ内移動では、ADM、DMCDともに6頭群で3頭群より長く(P<0.01)、また、DMCD割合は6頭群で3頭群より高かった(P<0.05)。すなわち、比較的グループサイズが大きい場合、パッチ間移動における他個体との移動方向の一致の程度は高く、また、これにはパッチ間移動距離の増加が伴った。このとき群構造は空間的に維持された。

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