日本における生体肝移植の適応拡大とその問題点

DOI
  • 倉田 真由美
    (独)医薬基盤研究所難病・疾患資源研究部政策・倫理研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Diffusion process of living donor liver transplantation in Japan and the relevant problems

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抄録

日本は脳死移植に先行して生体移植が普及するという世界でも類を見ない経緯を経て、生体部分肝臓移植が末期肝不全患者の治療法として定着しつつある。本研究は肝移植の主流である生体肝移植に着目し、日本で生体肝移植がどのように適応を広げ普及したのか、普及過程を整理分析し、今後検討すべき課題を明らかにすることを目的とした。生体肝移植は緊急性から実績を積み重ね、ほとんど社会的に議論されることなく今日まで順次移植適応を広げてきた。当初と比較すると肝移植の適応疾患は大きく変化し、現在はウイルス性肝硬変・肝細胞癌が主要な適応疾患となっており、C型肝炎における移植後再発、肝細胞癌の移植適応基準などが問題となっている。生体肝移植の適応についてはこれまで医師に一任してきたが、家族で取り組む生体肝移植の適応については、長期的なレシピエントの移植後のQOLを十分考慮した、広い見地からの検討が必要であり、社会的な議論を重ねていく必要がある。

収録刊行物

  • 生命倫理

    生命倫理 23 (1), 86-94, 2013

    日本生命倫理学会

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