清末預備立憲時期における財政制度改革 : 清理財政局を中心として

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タイトル別名
  • Reform of the fiscal administration under the late Qing dynasty : a study of the Committee for the Reorganization of the Financial Affairs of the Empire
  • セイマツ ヨビリッケン ジキ ニ オケル ザイセイ セイド カイカク : セイ リザイ セイキョク オ チュウシン ト シテ

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抄録

清朝は19世紀後半から財政規模を増大させ,20世紀初頭には収入規模が6倍にも達した。従来の財政部分は,「報銷」という報告制度によって中央の戸部が把握していたが,新増部分は報銷されず「外銷」と呼ばれ,建前的に中央では把握できていないことになっていた。従来の研究では外銷の増大が,地方の長官である総督・巡撫の権限を拡大させ,中央集権的な国家統合を動揺させたとされてきた。しかし,本論が分析した1908年に始まる「清理財政」改革では,外銷は急激に「内銷化」が進んだことが明らかになった。これは従来の清朝崩壊論と矛盾する現象である。また外銷は「総督・巡撫が隠匿し,戸部が把握困難なもの」であるという見方が一面的に過ぎ,「総督・巡撫が報告に前向きで,戸部が隠匿しようとする」ケースも有り得るということが判明した。これにより,清朝中央と地方の総督・巡撫が対立を深めて清朝が崩壊したという説明は成り立たないという見方が提示できた。また,清理財政改革は清末の立憲制導入の中で予算案作成のために始められたものであり,民国時期の予算制度確立開始点の知見を提供することもできた。

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