住民自主組織に所属する個人エンパワメント構造

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  • The Structure of the Empowerment of Individuals

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抄録

本研究は,住民自主組織に所属する個人エンパワメント構造を明らかにすることを目的とした.方法論としてエスノグラフィーの手法を用い,データ収集は,2つの住民自主組織(以下組織と略す)のいずれかに所属し,研究同意が得られた12名に対する参加観察,インタビュー,既存の資料等の検討であった.得られたデータを個人の活動変化の内容を明らかにする観点から分析した結果,以下のことが明らかとなった.1.個人エンパワメントのテーマを表すカテゴリーは,【人生の再デザイン】であった.これは組織に所属したことで,個人が生き方を再考し,方向づけたことを示している.また【人生の再デザイン】は,本研究の重要な意味をもつカテゴリーの1つであった.テーマを中心にカテゴリーを見直した結果,プロセスと結果の2側面を示していた.2.人生の再デザインまでのプロセス:(1)個人に影響を与える住民自主組織の要素は,【活動形態】【役割】【ネットワーク】【組織変化】【人】の5つであった.(2)個人の変革プロセスとして【体験と情緒的効果】【活動継続】,自己の一部分の変化でもある【部分的行動変化】【自身の再発見】,自己全体の基盤となる【信念変換】,最終段階では,個人エンパワメントのテーマを表すカテゴリーの【人生の再デザイン】を描いていた.その際方向づけを【身をもって得た情報】で行い,【積極的な取り組み姿勢】を原動力としていた.3.人生の再デザイン後の結果:(1)取り組み姿勢が,【自分らしく】を特徴とした活動となっていた.(2)【活動の場の広がり】が,<コミュニティ><日常のちょっとした手助け><家庭内>の3つの場で広がっていた.【視野の広がり】は,<家庭へ><組織全体へ><組織からコミュニティへ><制度へ>と大きくなっていた.以上が住民自主組織に所属する個人エンパワメント構造である.このことから個人・住民自主組織・コミュニティの関係の中でエンパワメントを検討することが必要であり,個人にとって住民自主組織に所属する意味,住民自主組織の意義について考察した.

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